英語の上達は「フォニックス」から?フォニックスの基本と発音学習

フォニックス(Phonics)とは、簡単に言うと各アルファベットの代表的な音の事を示します。
英語を初めて学習するのであれば、まずはフォニックスをマスターする。これが英語学習の超鉄則です。
中高生や大人で、英語を勉強中なのにフォニックスを学んだことがないという人は、現在行っている学習は一旦脇に置いて、フォニックスの学習を行ってみてください。
それほどに重要な意味を持つスキルです。

フォニックスってなんのこと?どうやって勉強すれば良い?

フォニックスについて詳しく解説すると、各アルファベットの組み合わせを正しく発音するための規則というのが正しい表し方になるでしょう。

アルファベットの a , b , c を[ei][bi:][si:](エイ、ビー、スィ)と発音するのは長音です。これは文字の名前の読み方ですので、「名前読み」とも言います。
これに対して、アルファベットを短く読むとき(短音)は、[æ][b][k]、大雑把にカタカナ表記にするとしたら「ア」「ブ」「ク」になります。
つまり、それぞれの文字を短く読むときの一番代表的な読み方をまずは習得しようということになります。

なぜ「代表的」かというのは、英語ではひとつのアルファベットに対して複数の読み方があるからです。
たとえば A なら[ei][æ][ʌ][a][a:]といった読み方ができますが、「短音」の練習をする時は[æ]と発音します。
[æ]は「アッシュ」という文字ですが、指二本半分縦に口を開け、「エ」と発音すると大体は正確に発音できます。

覚え方の基本は、フォニックスソングをひとつ選び、何度も繰り返すことです。
ABCの歌を英語のリズムで歌えるようになれば、とりあえず長音はカバーできます。その上で、短音を覚えていきましょう。
アメリカの幼稚園(キンダーガーテン)では、フォニックスの動画を毎日クラスで視聴し、楽しみながら自然とフォニックスの音を覚えられるような授業が行われています。
ご家庭で動画を視聴する場合は、モチベーションを維持するために親子で一緒に歌うのがおすすめです。
車で移動をされる方は、BGMとしてフォニックスソングを流すのも良いでしょう。

フォニックスを練習・学習するコツは?

ABCの歌を、日本語リズムではなく英語リズムのもので歌う

英語の発音を練習する際は、「ABCソング」を真似して歌うことがおすすめです。その際に、日本語リズムのABCソングではなく、英語リズムのABCソングで歌ってみましょう。
日本語リズムのABCソングでは、「エル、エム、エヌ」で一呼吸おいて、「オー、ピー、キュー」ですが、英語リズムのABCソングでは「LMNOP」を一気に繋げて発音します。
日本語と英語の文字体系では音節の捉え方が異なるため、ABCソングの日本語版と英語版ではリズムが変わってしまうのです。
普段話す日本語に比べ、1オクターブぐらい低く発音するとなお良いでしょう。

日常生活で触れるものに書いてあるアルファベットを読んでみる

いきなりフォニックスから入るのではなく、文字を先に知ることがなぜ役に立つのか、具体的な名前と、文字を結びつける経験があったほうが望ましいと言えます。
フォニックス学習で「音」と結びつけるべき「文字」が何であるかを理解せずに音だけを聞いても、それがどの文字に対応するのかが分からなければ、学習が進みにくいことがあります。
アルファベットの読み方と、実際の発音にはちょっとしたズレがあることを経験し、その上で短音の練習に入ります。

アルファベット26文字の、最も頻繁に使われる読み方を練習する

語頭の短音を発音できるようになったら、次に「子音・母音・子音」のパターンで構成される3文字の単語を読む練習をしましょう。
cat / bed / sit / dog / cut などが代表例です。
これらの単語は基本的な音の構成で成り立っており、音節の概念を意識しながら、音を繋ぎ合わせる練習をすることに役立ちます。

「フォニックス読みに該当しない文字」とは?

英語圏の子どもたちは、学校でフォニックスを学んだあとはサイトワーズ(Sight Words)と呼ばれる一群の単語を覚える作業に入ります。

サイトワーズにはフォニックスのパターンに該当しない超頻出の単語が多く含まれています。
「見て覚えるしかない」という意味の Sight です。
どの単語がサイトワーズに該当するのか明確な決まりがあるわけではないのですが、英語圏では Dolch Words や Fly Words と呼ばれる分類がよく使われています。

Sight Words(Dolch Words)一覧

Pre-primer

a, and, away, big, blue, can, come, down, find, for, funny, go, help, here, I, in, is, it, jump, little, look, make, me, my, not, one, play, red, run, said, see, the, three, to, two, up, we, where, yellow, you

Primer

all, am, are, at, ate, be, black, brown, but, came, did, do, eat, four, get, good, have, he, into, like, must, new, no, now, on, our, out, please, pretty, ran, ride, saw, say, she, so, soon, that, there, they, this, too, under, want, was, well, went, what, white, who, will, with, yes

First

after, again, an, any, as, ask, by, could, every, fly, from, give, going, had, has, her, him, his, how, just, know, let, live, may, of, old, once, open, over, put, round, some, stop, take, thank, them, then, think, walk, were, when

Second

always, around, because, been, before, best, both, buy, call, cold, does, don’t, fast, first, five, found, gave, goes, green, its, left, made, many, off, or, pull, read, right, sing, sit, sleep, tell, their, these, those, upon, us, use, very, wash, which, why, wish, work, would, write, your

Third

about, better, bring, carry, clean, cut, done, draw, drink, eight, fall, far, full, got, grow, hold, hot, hurt, if, keep, kind, laugh, light, long, much, myself, never, only, own, pick, seven, shall, show, six, small, start, ten, today, together, try, warm

ネイティブの子どもたちはサイトワーズの読み方だけでなくスペルまで覚えさせられますが、日本の小学校低学年であれば、サイトワーズを正しく読めるだけで十分です。
なぜならフォニックスを学び、サイトワーズの読み方を覚えてしまえば、子ども向けコンテンツに出てくる英単語は全て読めるようになるからです。

英語の発音はどうすれば上達する?ネイティブの先生に教わるべき?

音声学を熟知した日本人に教わると、一気に開眼する可能性があります。
「流暢な英語を話せるようになるにはネイティブの先生に習うのが一番」と考えるのが一般的かもしれませんが、実はそうとも言えません。

たとえば、日本語を当たり前のように話している私たちがはたして日本語の正しい発音を理屈で理解しているかというと、案外わかっていないと思います。
「ん」の音には3種類あって、「日本橋」の「ん」は「m」であることを知らない人が多いのではないでしょうか(駅名のローマ字も Nihombashi で、m になっています)。

英語のネイティブスピーカーが話している言語は、自然に体得したものなので、それを再現するための仕組みを理解していない可能性があります。
ですから、日本人の子どもが多少ズレた発音をしていたとしても、ネイティブの先生が「子どもだからこんなものだろう」「まったく伝わらないわけではないから大丈夫」と見過ごしてしまうことがよく起きるのです。

J PREPでは、発音の基礎に関しては日本人講師が教えるようにしています。
日本人だからこそ日本人の発音の癖を理解していますし、日本語で説明された方が理解しやすいからです。

たとえば、「口を指3本分開けて発音しましょう」という説明を、小さな子どもや英語の初学者にネイティブの英語で説明しても、うまく理解できないでしょう。
そこで、「みなさん、口を開けましょう。まずは指1本分で。次に指2本分、その次に指3本分に開けましょう」と日本語で丁寧に教えることで、英語の耳がまだできていない人でも、狙った音が出せるようになります。
J PREPでは、このようにして基礎をしっかりと固めてから、ネイティブの講師にバトンタッチして練習をしてもらう、という形で授業を行っています。

斉藤先生!小学生からの英語教育、親は一体何をすればよいですか?

今回ご紹介した内容について、J PREP代表 斉藤淳が解説した書籍がアルク社から出版されています。

斉藤先生!小学生からの英語教育、親は一体何をすればよいですか?の書影

「家庭学習のコツ」「小学生英語のキモ」から、「年々難化する入試対策」「グローバルエリート養成法」まで、子どもの英語教育に関する疑問、お悩みにお答えします!

書籍内容

  • 小学生英語の目的について
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斉藤 淳(さいとう じゅん)

1969年山形県酒田市生まれ。

上智大学外国語学部英語学科卒業(1993年)、イェール大学大学院政治学専攻博士課程修了、Ph.D.取得(2006年)。ウェズリアン大学客員助教授(2006-07年)、フランクリン&マーシャル大学助教授(2007-08年)を経てイェール大学助教授(2008-12年)、高麗大学客員教授(2009-11年)を歴任、2012年4月に帰国、英語塾代表として起業。

2014年に発売された『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』と『10歳から身につく問い、考え、表現する力』がベストセラーとなる。2017年に『世界最高の子ども英語』、2023年に『アメリカの大学生が学んでいる本物の教養』、2024年に『斉藤先生! 小学生からの英語教育、親は一体何をすればよいですか?』を刊行。J PREPでは全体の統括に加え、教材開発、授業、進路指導を担当。

J PREP の季節講習

J PREPでは、季節講習を年3回(春・夏・冬)開講しています。
季節講習では、英検®対策講座、英文エッセイに役立つライティング講座、フォニックスの初歩から徹底的に習得する発音ブートキャンプなどの幅広いラインナップの講座を受講することができます。

講座内容の例

  • 発音ブートキャンプ【対象:小学5年生〜中学3年生】
  • 体験授業・基礎~初級集中【対象:小学5年生〜中学3年生】
  • 英検®対策講座【対象:小学5年生~各級保持者など】
  • Introduction to Academic Writing【対象:中学1年生〜3年生の英検®準2級所持者】
季節講習ページ

J PREP 斉藤塾では、2025年度 入塾説明会を開催中です!

J PREP 斉藤塾では、2025年度 夏期講習を開催します。

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J PREP 斉藤塾 コース紹介

J PREPでは、1人1人のレベルや目指す進路に合わせて細やかにコースが分けられています。
自分の将来に合わせた最適なコースを選択できます。

英語力の基礎から学ぶコース。高校1年生までに国内一流大学合格、英語圏大学留学に必要とされる十分な英語力を養うことを目標とします。

  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生

主対象:小5〜高1

大学入試英語に通用する英語力を養い、志望校合格を目指すコース。単語・文法・読解・英作文・要約などの基礎から実践的な英語まで学びます。

  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生

主対象:高1~高3

授業をすべて英語で行う留学指導のコース。SAT対策、TOEFL対策、大学出願個別指導に加えて、発展的な教養や表現を養成します。

  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生

主対象:小5〜高3

J PREPで学ぶ速習型の数学コース。東京大学・京都大学・医学部をはじめとする難関大学入試で重要な基礎力を体系的に学ぶカリキュラムです。

  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生

主対象:小5〜高1

小学校入学以降に英語学習を始める小学1年生から4年生対象のコース。年齢と学習経験に合わせた練習メニューで英語の総合力を高めます。

  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生

主対象:小1〜小4

英語コース履修ガイド

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