
TOEFL iBT®テストは、受験体験をさらに良いものへと進化させるための取り組みを進めており、その一環としてテスト内容の大幅なアップデートを発表しました。このアップデート版TOEFL
iBT®は、2026年1月21日から導入される予定です。
本記事では、TOEFL iBT®の新形式について、その目的、構成、スコア表示方法の変更点を詳細に解説します。
今後の受験を控えている方は、本記事を通じて新形式の全体像を把握し、効果的な対策を立てるための準備を始めてください。
2026年からのTOEFL iBT®の主な変更点
2026年1月21日以降のTOEFL iBT®テストは、従来の信頼性を維持しつつ、現代の学習環境で求められる重要な言語スキルとコミュニケーション能力を測定するために改良されます。この変更は、アカデミックな場面で必要とされる英語力をより信頼性の高い形で効率よく測定できるよう設計されています。
特に重要な変更点は以下の3点です。
1. アダプティブ方式の導入と公平性
新形式では、Reading(リーディング)とListening(リスニング)のセクションに「2段階のアダプティブ方式」が採用されます。
この方式では、各セクションが2つのモジュールで構成され、1つ目のモジュールの正答率に基づいて、2つ目のモジュールの難易度が変化します。これにより、テストは受験者一人ひとりのレベルに適合した問題を出題し、不必要なプレッシャーを抑えながら、自信を持って実力を示せるように最適化されています。
また、出題されるトピックも、従来の大学院レベルのアカデミックなテーマだけでなく、大学生活やキャンパスでの身近な話題も含まれるようになります。これは、すべての学習者に成功への公平な機会を与えることを目指した「公平な(Fair)」設計の一環です。
2. ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)対応のバンドスコア方式導入
スコア表示方法が大きく変わります。従来の0~120点のスコアに加え、新しく「バンドスコア方式」(1〜6のスケール)が導入されます。
このバンドスコア方式は、言語能力の国際的な基準であるCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)とより直感的に対応させることを目的としています。総合スコアおよび各セクションのスコアが1から6のスケールで評価されることで、スコアの解釈がわかりやすくなり、自分の英語力を世界レベルで確認できるようになります。
ただし、移行措置として、2026年1月21日以降の2年間は、スコアレポートにバンドスコア(1~6)と、それに対応する従来のスコア(0~120)の両方が記載されます。
3. スコアレポートの迅速化
受験者の利便性を高めるため、結果の確認プロセスが迅速化されます。
新形式では、採点結果が受験日から72時間以内にETSアカウントで確認できるようになります。また、出願先への発送も72時間以内に完了します。これにより、多様なスケジュールや学習スタイルに対応しやすくなっています。
なお、無料版の紙のスコアレポートは提供されませんが、ETSアカウント内でのデジタル版およびPDFでの確認は引き続き可能です。
4. テストの構成が大きく変更
新形式のTOEFL iBT®は、全体的な構成が大きく変更され、各セクションの時間と問題形式が最適化されています。
TOEFL iBT®は引き続き「読む・聞く・書く・話す」の4技能を評価しますが、試験構成は以下の通りとなります。
セクション | 問題形式(主なタスク) | 問題数*1 | 推定時間*2 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
Reading | 3種類(単語完成、日常生活、アカデミック文章) | 35-48問 | 約27分 | 2段階のアダプティブ方式を採用 |
Listening | 4種類(応答選択、会話、アナウンス、講義) | 35-45問 | 約27分 | 2段階のアダプティブ方式を採用 |
Writing | 3種類(文作成、Eメール、アカデミックディスカッション) | 12問 | 約23分 | 新タスク含む、すべてタイピング形式 |
Speaking | 2種類(聞いて繰り返す、インタビュー) | 11問 | 約8分 | 基礎スキルとコミュニケーション能力を測定 |
*1. 問題数にはダミー問題が含まれるため、変更になる可能性があります。
*2. 推定時間には、音量調整や導入説明を読む時間などは含まれていません。
5. スコア制度:CEFRとの対応
新しく導入されるバンドスコア(1~6)は、CEFR(A1からC2)と明確に対応しています。
例えば、CEFRレベルがC1に対応するバンドスコアは5または5.5、B2に対応するのは4または4.5です。
ETSは、従来の0-120スコアと新しい1-6バンドスコアの目安を対応表で公開しており、受験者は目標とするレベルを確認できるようになっています。
CEFR level | Total Band Score (1-6) | Est. Total Score (0-120) |
---|---|---|
C2 | 6 | 114+ |
C1 | 5 / 5.5 | 95+ / 107+ |
B2 | 4 / 4.5 | 72+ / 86+ |
B1 | 3 / 3.5 | 44+ / 58+ |
A2 | 2 / 2.5 | 24+ / 34+ |
A1 | 1 / 1.5 | 0+ / 12+ |
* 表は、ETSがまとめた一般的なスコア要件と対応目安を基に作成されています。
TOEFL iBT®の各セクションの具体的な変更タスクについて
ここからは、各セクションの具体的な変更タスクについて詳述します。
Readingセクション(約27分)
新形式のReadingセクションは、約27分間で3種類のタスク(計35〜48問)が出題されます。
最大の変更点は、2段階のアダプティブ方式が採用される点と、出題される文章の長さと種類が多様化する点です。
新形式では、アカデミックな文章(Read an Academic Passage)に加え、以下の2つの新しいタスクが導入されます。
Complete the Words
約70〜100語のアカデミックな文章を読み、削除された文字部分を補って単語を完成させるタスクです。
これは、語彙力と文脈理解力を同時に測る新しい形式であり、従来の長文読解で問われていた語彙問題とは異なります。
Read in Daily Life
世界中の日常生活でよく見かける約15~150語の文章(掲示、Eメール、短い通知など)を読み、選択肢から回答を選びます。
従来のTOEFL iBT®がアカデミックなトピックに特化していたのに対し、このタスクは大学生活やキャンパスでの身近な話題も出題されるという「公平な(Fair)」設計を反映しています。
Listeningセクション(約27分)
ListeningセクションもReadingと同様に2段階のアダプティブ方式が採用され、試験時間が約36分から約27分に短縮されます。
新形式では、従来の講義(Academic Talk)や会話(Conversation)に加え、以下の2つの新しいタスクが追加されます。
Listen and Choose a Response
短いやり取りの最初の質問または発言を聞き、話し手の発言に対して最も適切な応答を選択します。
これは、キャンパスや日常の短いやり取りにおける即時的な応答能力を測るタスクであり、従来の長時間の会話や講義を聞き取るタスクと異なり、より実用的なコミュニケーション能力を評価します。
Listen to an Announcement
アカデミック関連の短いアナウンス(約40〜85語)を聞き、その内容に関する問題の回答を選びます。アナウンスの内容は、スケジュール、案内、規則、学生の成果などです。
短いインフォメーションを正確に聞き取る能力が問われます。
Writingセクション(約27分)
Writingセクションは、試験時間が約23分となり、計3つのタスクが出題されます。
大きな変化は、従来のIntegrated task(読んで聞いた内容を要約して書く)が廃止され、代わりにBuild a SentenceとWrite an
Emailという新しいタスクが導入される点です。
ただし、Write
for an Academic Discussionは、2023年7月26日以降の現行形式で導入されたタスクであり、新形式にも引き継がれます。
Build a Sentence
語や句を並べ替えて文法的に正しい文を作り、会話の流れに合った適切な返答を作成するタスク(10問)です。
基礎的な文法力と構成力を測る、まったく新しい形式です。
Write an Email
試験時間は7分間。与えられた設定に応じて、相手に必要なことを伝えるためのEメールを作成します(1問)。
従来のTOEFLではエッセイ形式のアカデミックなライティングが中心でしたが、このタスクはキャンパスライフで頻繁に使用される実用的なコミュニケーション(メール作成)のスキルを測定します。
Write for an Academic Discussion
試験時間10分間。オンライン授業のような設定で、教授が与えるテーマと2人の学生の意見を読み、自分の意見を100語以上で書きます(1問)。
こちらは2023年7月26日から導入されたタスクが継続されます。
Speakingセクション(約27分)
Speakingセクションは、試験時間が約16分から約8分に短縮され、計11問が出題されます。
新形式では、旧形式の目玉であった「統合型タスク(Integrated tasks)」読んで聞いて話すタスクが廃止されます。代わりに、基礎的な言語スキルを測るタスクと、対話形式のコミュニケーション能力を測るタスクに特化します。
Listen and Repeat
表示された絵に関する説明が7つの文に分かれて1文ずつ読まれます。受験者は、各文が読まれたあと、8~12秒の間に聞いたものをそのまま繰り返します(7問)。
これは、言語を処理し、流暢かつ明瞭に発話するための基礎的スキルを測ることを目的とした全く新しいタスクです。
Take an Interview
インタビュアーの話のトピックに関連した4つの質問に答え、自分の経験や意見について話します。回答時間は各質問に対して45秒以内です。内容は奨学金への応募や調査研究への参加など、さまざまな場面が想定されます。
従来のIndependent task(身近なトピックについて意見を述べる)に近い形式ですが、模擬インタビュー形式となり、より対話的なコミュニケーション能力が測定されます
TOEFL iBT®の受験準備と対策について
ETSは、新形式に対応した無料のサンプルテストや模擬テストを公開しています。受験を予定している方は、これらのリソースを活用し、新しいタスク形式や時間配分に慣れておくことが推奨されます。
なお、2026年1月20日までに受験されたTOEFL iBT®のスコアレポートも、テスト日から2年間の有効期限内であればそのまま出願等に利用できます。
すでに従来のスコアをお持ちの方は、改めて新形式で受験し直す必要はありません。
また、テスト形式は変更されますが、求められる基本的な英語運用スキルは変わりません。
現在手元にある公式教材(英単語帳、テキスト、eBookなど)は、引き続き英語力の基礎を固めるために活用できます。今後は新形式に対応した公式テキストやeBook教材も順次改訂予定とのことです。
新形式へのスムーズな移行のためにも、まずは無料提供されているアップデート版の練習テストで本番の流れを体験することをおすすめします。
2026年1月21日からのTOEFL iBT®アップデートは、迅速さ、公平さ、そして最適化を重視し、受験者が本来持っている英語力を正確に、かつ効率よく測定することを目指しています。
新形式では、アダプティブ方式の採用により、テストの難易度が個々の受験者のレベルに合わせられるため、過度なプレッシャーを感じることなく実力を発揮しやすくなります。また、新しいバンドスコアの導入は、CEFRとの対応を通じて、スコアの世界的な位置づけを明確にし、学習の目標設定やモチベーション向上に役立ちます。
この機会を活かし、積極的に対策を進め、目標達成を目指しましょう。
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