S.N.さん2019年

出身高校東洋英和女学院高等部

進学先早稲田大学政治経済学部政治学科

大学のアカデミック・ライティングの授業で
J PREPでの成果が生きています

半年早稲田大学に通ってみての感想を聞かせてください。

政治学科に進学しましたが、オープンで自由な学風です。海外からの留学生も多く、多様性を意識します。

早稲田大学総長に就任した田中愛治先生は、米国大学で博士号を取得した政治学者として大先輩ですし、実は良く存じ上げています。大学を改革する気迫が伝わってきますね。

最近は数学に力を入れていることを感じます。入試で数学が必須になります。政治学科でもミクロ経済学、マクロ経済、統計学が必修になり、いずれも数学の基礎力が要求される科目です。政治なのに経済の勉強をすることが多いです。

これには理由があって、30年以上前の政治学は、どちらかというと社会学寄りでした。ところが政治学が理論の組み立てから、データを使った実証研究の方法論まで、経済学の強い影響を受けるようになりました。政治学が学問として応用経済学化していきました。早稲田の政治学科は、研究成果を国際的な学術誌に発表し続ける一流の先生が日本で一番多いところなんです。国際政治学も比較政治学も、ゲーム理論モデルも使える、データ分析もそつなくこなす先生方が揃っているんです。

私は数学が苦手なので、苦痛に感じることもあります。春学期は政治学よりも経済学系の科目の方が多かったですし。

ミクロ経済学は、人間の行動に影響を与える誘因を総合的に捉える学問ですから、狭い意味での経済現象だけが対象とは限らないのです。投票行動も消費行動も、同じミクロ経済学の枠組みで分析できることが多くあります。統計学が分からないと、選挙もマーケティングも、データの分析が出来ませんからね。なので最初にその基礎を叩き込んでいるんでしょう。

秋学期以降は、政治学系の科目が増えていきます。私は国際関係論に強い関心を持っています。
先生は以前、統計を使う研究をしていたのですか?

はい、研究では幅広く数学を使いました。でも、元々は私も数学は決して得意ではなく、自分の研究で数学が必要だと気づいた大学三年の時に、高校生の数学から勉強しなおしました。結局は大学の理工学部系で勉強する内容は一通り学びました。数学を諦めてしまうのはもったいないです。

苦手意識が元々強くて、高2くらいから数学を受講しなくなりました。ところがミクロ経済学で、これまで学んでこなかった数学が出てきました。

ミクロ経済学は、微分積分なしで理解することは難しいですからね。多変数関数の微分が分かれば簡単に理解できることを言葉で説明しようとすると回りくどくてかえって大変です。ところで、J PREP での勉強について少し振り返ってみたいのですが。

特に高3の時に、作文課題を添削していただいたことが有益でした。やはり大学に入ってアカデミック・ライティングの授業があって、毎週エッセイを書いています。短時間でいろいろな文章を書けるようになったのは、J PREP で指導を受けてきたからだと思います。

大学生でいきなり書き始めるよりも、やはり高校生である程度指導受けていた方が大学での伸びも順調だと思います。

そうですね、やはりアカデミック・ライティングでは良い成績を取ることができました。

早稲田の最近の入試は、パラグラフ・ライティングに力を入れていますね。もともと作文の出来る受験生が大学に上がって行く仕組みになっています。だから尚更、高校生の間にどれだけ高い実力に到達できるかが重要です。周りの人でも、日本の受験勉強だけできた人は苦労しているかもしれませんが、でも、実のところ結構できる人も周りにいますよね?

やはり帰国子女の同級生は全然苦労していませんが、ずっと文法だけやってきたような人だと普通にライティングの課題だけで、かなりの時間がかかると聞きます。他に読解でも、授業内演習で培ったスキルがTOEFL 対策に役立っています。

ポイントを押さえなければいけないですしね。国内大学受験向けの勉強ではあったのですが、実はオールラウンドで色々使えるということなんですよね。いたずらに受験英語の対策を敵視する必要は全然なくて、上手い形で色々なスキルが結びつくように習っていくことが望ましいですね。佐藤さんは数少ないイェール・キャンプの参加者なので、その経験から何か言えることがあればありがたいです。

フランシス・ローゼンブルース先生の授業が印象的でした。ローゼンブルース先生は早稲田大学の理事を務めているのですけれど、今、政治学を学んでいる理由の一つですね。将来について考える良いきっかけになりました。