早期英語学習のロードマップ -SLA理論に基づいた効果的な方法-

お子さまの英語学習、どう進めるべきか悩んでいませんか?
「ネイティブのように話せるようになってほしい」「将来の選択肢を広げてあげたい」という願いは多くの親御さんに共通するものです。しかし、いざ始めようと思っても、様々な情報があふれていて何から手をつければ良いか分からない、という方もいるかもしれません。
この記事では、第二言語習得論(SLA理論)の知見に基づいた、子どもの英語学習における効果的なアプローチをご紹介します。特に、家庭で実践できる具体的な方法に焦点を当てて解説していきます。

なぜ科学的アプローチが子どもの英語学習に重要なのか?SLA理論から学ぶ

子どもの英語学習を始めるにあたり、まずはその土台となる考え方を知っておくことが大切です。
ここで参考になるのが「第二言語習得理論(SLA理論)」です。SLA理論とは、母語以外の言語をどのように身につけるか、そのプロセスを科学的に研究する分野です。

SLA理論の主要な知見として、まず学習者の年齢が重要であること挙げられます。子どもが言葉を身につけようとする際は、まず音の塊から入っていくとされています。音声ベースで学ぶ効率は、年齢が小さければ小さいほど高い傾向にあります。例えば、生後6か月の赤ちゃんはLとRの区別を聞き分けることができると言われています。

また、母語の転移(Language transfer)が起こるという点も重要です。
これは、母語として話している言葉の特徴が、第二言語の習得に影響を与えるということです。例えば、日本語を母語とする人が英語を学ぶ場合、冠詞の使い分けが難しかったり、音が障害になることが多いという特徴があります。そのため、母語の特徴を抑えた指導が必要になります。特に日本語話者は、母音の種類(日本語5種類に対し英語20種類以上)や子音の種類(日本語16種類に対し英語25種類)が英語よりも少ないため、音の習得が難しいと感じやすい傾向があります。

子どもの英語学習を考える親は、どうしても「少しでも早く」と焦りがちですが、焦りは禁物です。子どもには多様な形で知的な負担がかかる可能性があることを理解しておく必要があります。習得しようとする言語の種類と距離が離れているほど、言語の発達が遅れる可能性も指摘されています。しかし、ほとんどの場合、ティーンエイジャーになる頃には追いつくとも言われています。

バイリンガルやマルチリンガルのあり方は多様であり、習得しようとする全ての言語が完璧である必要はなく、ある程度穴があっても、最終的な目標地点に到達できれば良いと考えることも大切です。大人になってから学び直すこと(リスキリング)も可能です。
多様な形があることを理解しておくと、子育てでの不安を減らすことができるでしょう。

英語の基礎、発音の土台「フォニックス」を固める

日本語を母語とする人が英語を学ぶ上で、しばしば障害となるのが「音」です。
特にローマ字の感覚で英語の発音に入ると、うまくいかないことが多いと指摘されています。これは、ローマ字が元々日本語の文字を読めない人が日本語を真似るために考案されたものであり、英語の発音の仕組みとは大きく異なるためです。例えば、「Inoue」をローマ字読みすると「イノウエ」ですが、英語読みすると「イヌー」のように全く違う音になります。
日本語母語話者がローマ字で英語を学ぶのは、「高速道路を逆走するような危険行為」に例えられています。

では、どのように英語の音を学べば良いのでしょうか?
ここで重要になるのが「フォニックス」です。フォニックスとは、アルファベットの「音」と「文字」の関連性を学ぶ方法です。ネイティブスピーカーも、アメリカの保育園などで最初期にフォニックスを学びます。

まず、アルファベットには、名前を読む「長音」(例: A, B, C …)と、単語の中で発音される基本的な「単音」(例: catの /k/、appleの /æ/)の2種類の読み方があります。
フォニックスでは、これらの単音を中心に学びます。例えば、Cは「シー」と読む他に、「ク」という単音があります。

フォニックスを学ぶことには、単語を正しく発音できるようになるだけでなく、単語を覚えるのも、文法を学ぶのも効率化されるという大きなメリットがあります。フォニックスのルールが分かってくることで、英語学習全体が効率化されるのです。

子どものフォニックス学習には、YouTubeなどの映像コンテンツが非常に有効です。
YouTubeで「フォニックス」と検索すると、音と画像がセットになった優れた教材がたくさん見つかります。これらの教材は、視覚情報(約80%)と聴覚情報(16%)を効率的に活用でき、母語を学ぶプロセス(具体的なモノと音を結びつける)に近い学習が可能だからです。

まずは、アルファベットや数字、そしてフォニックスの単音を正確に発音する練習から始めるのが良いでしょう。
例えば、アルファベットの歌を英語のリズムで歌うことから始められます。日本語にはない音も多いため、口の体操として、保護者も一緒に練習することが推奨されています。日本語と英語では、声の出し方自体が異なります。英語を話す際は、日本語よりも声のトーンを下げ、腹式呼吸で声を出すことが効果的です。例えば、”three”を正確に発音するだけでも、英語の発音の基礎が身につくと言われます。
子ども時代にアルファベット、数字、フォニックスの単音を正確に発音できるようになるだけでも、後々の英語学習をスムーズにする効果が期待できます。

子どもの「楽しい!」を引き出すモチベーション管理術

英語学習を長続きさせ、上達させる上で、何よりも重要になるのが「モチベーション」です
モチベーションが高い状態であれば、たとえ非効率に見える練習でも、楽しく続けることで結果的に上達することがあります。専門家は、モチベーションが学習の成否の半分を決めるとも述べています。モチベーションなしに勉強のためだけに英語に取り組むと、長続きせず上達しない悪循環に陥りがちです。

特に子どもの場合、モチベーションの管理は非常に重要です。
では、どのように子どものモチベーションを高めれば良いのでしょうか?

一つは、親自身が英語を楽しむ姿を見せることです。
親の後ろ姿は子どもによく見られています。親が英語が苦手な場合でも、少々大げさに見えるような演技であえて「失敗」を見せたり、子どもが少しでも上手に英語を使えたら大いに褒めて、「お家の中で自分がいちばん英語がうまい子」という自信をつけてあげることが大切です。
親自身が英語が苦手だとしても、「海外のドラマを日本語字幕無しで観たい」「スティーブ・ジョブズのようなプレゼンがしたい」といった具体的な目標を持って、子どもと一緒に英語を楽しむモチベーションを高めていきましょう。

また、子どもにとって楽しいと思えること、興味を持てることを優先することも重要です。
難しい単語が出てくるコンテンツでも、子どもが「楽しい」と感じるものであれば案外覚えてしまうものです。歌を歌ったり、手遊びをしたり、体を動かしたり、好きなキャラクターの出るアニメを見るなど、子どもが自然と楽しめる活動を取り入れましょう。

無理強いせず、子どものペースを尊重することも大切です。
焦って早く始めようとするよりも、子どもにとって家庭が安心できる環境であり、保護者との信頼関係を育むことを最優先に考えましょう。たとえスタートが遅れても、後から挽回することは十分に可能です。まずは親子で快適な時間を過ごすことを優先しましょう。

インプット中心の効率学習法を実践

SLA理論では、良質なインプットを確保することが非常に重要であるとされています。
アウトプット(話したり書いたりする練習)だけでは、英語は上達しません。アウトプットをしたい人も、アウトプットの練習だけでは上達しないのです。学習時間のバランスとしては、インプットに90%、アウトプットに10%程度を割くのが目安と提案されています。

インプットの方法としては、聞く、読む、そして「見る」(ビデオを見るなど)が挙げられます。
人間の記憶において、視覚情報はおよそ8割、聴覚情報はおよそ16%を占めると言われており、言葉の習得過程では、視覚情報と聴覚情報がセットで入ってくる教材が効果的です。母語を学ぶ際も、具体的なモノ(オブジェクト)があってそこに音が乗ってくるプロセスをたどります。このメカニズムを参考にすると、ビデオ教材は非常に理にかなった学習ツールと言えます。YouTube Kidsのような無料コンテンツも有効活用できるでしょう。

特に映画コンテンツを活用する際のコツは、「何度も見ること」です。
10回と言わず、暗記して言葉が自然に出てくるまで繰り返し見ることが推奨されています。お気に入りの作品を何十回も見ることで、そこから言葉を応用する力が育まれます。登場人物になりきってモノマネをすることも、将来自分で言葉を考えて話すための「助走」「補助輪」になります。モノマネはジェスチャーなども含めて行うことが大切です。

また、身体を使った学習法として「全身反応教授法(Total Physical Response: TPR)」があります。
「Catch the ball!」と言われたらボールを取りに行くように、言葉に対してダイレクトに体が反応する回路を作る練習です。主に小さい子どもによく使われる方法ですが、大人にも効果があると言われています。家庭内で「Give me!」などと英語で伝えてみるのも良いかもしれません。ただし、日本語と英語を混在させるか、分けるかは、家庭での安心できる楽しい時間を優先し、あまり神経質にならなくても良いでしょう。

小学生ではフォニックス学習と並行して「多読」も重要になります。簡単な絵本から始め、絵が少ないチャプターブックへと徐々にレベルアップしていくことで、読書量を確保し、英語力を伸ばすことが可能です。辞書を引かなくても読めるレベルより少し難しい本を繰り返し読むのがコツです。

ただし、読み聞かせなど寝かしつけの時間には、安心できる母語(日本語)を使う方が良いという専門家の意見もあります。家庭で英語と日本語の時間を完全に分ける必要はない とのことですが、どちらの言語も大切にする意識は持っておきたいものです。海外に行けば英語はできて当たり前であり、母語もしっかり身につけておくことが、後々のスキルセットとしても重要になります。

まとめ

最も大切なのは、科学的な根拠に基づいたアプローチ(特にフォニックスとインプット重視)を理解しつつ、焦らず、子どもの「楽しい!」という気持ちを最優先することです。そして、親自身も一緒に楽しみ、子どもの小さな成功をたくさん褒めてあげましょう。子どもにとって、家庭が安心できる環境であり、保護者との信頼関係を育むことが最優先です。

英語学習は、子どもの成長とともに形を変えていきます。習得しようとする全ての言語が完璧である必要はありません。家庭で安心できる環境を保ちながら、映像教材を活用したり、歌を歌ったり、親子で楽しみながら、英語を生活の一部に取り入れていくことが、子どもの英語力を着実に伸ばすことにつながるはずです。

小学校低学年向けのカリキュラム

J PREP Kids カリキュラム

海外在住経験を持たず、日本国内で教育を受けている小学1年生から小学4年生を主たる対象とし、カリキュラムを構成しています。週1回2.5時間の授業と家庭学習で英語学習に必要なすべての技術を効率的に習得していきます。

海外在住経験がない
小1~4

  • 日本語母語講師 + 英語母語講師
  • All English

コースを詳しく見る

J PREP Explorers カリキュラム

インターナショナル・キンダーガーテン卒園生や海外帰国子女など、ネイティブ・レベルのスピーキング力を保持する小学1年生から小学4年生を主たる対象とし、英語4技能を満遍なく鍛えるオール・イングリッシュ・プログラムです。

海外帰国子女などの
小1~4

  • 日本語母語講師 + 英語母語講師
  • All English

コースを詳しく見る

英語学童・アフタースクール

J PREP A+

20時までの学童保育としての利用のみならず、放課後の時間で確実に英語を習得したい小学生を対象に、有効に学べるよう最善の環境を提供しています。

放課後の時間で確実に英語を習得したい小1~6

  • 日本語母語講師 + 英語母語講師
  • All English

詳しく見る

英語幼児園・キンダーガーテン

Sunnyside International Kindergarten

2歳から6歳のお子さまを対象とした認可外保育施設で、すべての教育と保育活動を英語で行うオール・イングリッシュの教育プログラムを提供しています。

2歳~6歳(未就学児)

  • 日本語母語講師 + 英語母語講師
  • All English

詳しく見る

J PREPの季節講習

J PREPでは、季節講習を年3回(春・夏・冬)開講しています。
季節講習では、英検®対策講座、英文エッセイに役立つライティング講座、フォニックスの初歩から徹底的に習得する発音ブートキャンプなどの幅広いラインナップの講座を受講することができます。

講座内容の例

  • 発音ブートキャンプ【対象:小学5年生〜中学3年生】
  • 体験授業・初級~中級集中【対象:小学5年生〜中学3年生】
  • 英検®対策講座【対象:小学5年生~各級保持者など】
  • Introduction to Academic Writing【対象:中学1年生〜3年生の英検®準2級所持者】
  • 英文パラフレーズ徹底習得【高校1年生 ※ J PREP 在籍生限定
  • 国内難関大学対策講座【高校1年生~3年生 ※ J PREP 在籍生限定
  • 数学講座 幾何の徹底演習【中学2年生~高校1年生 ※ J PREP 在籍生限定
  • 数学講座 数学ⅠAⅡBC 頻出テーマ演習【高校3年生 ※ J PREP 在籍生限定
季節講習のご案内

J PREP 斉藤塾では、2025年度 入塾説明会を開催中です!

J PREP 斉藤塾では、2025年度 夏期講習を開催します。

関連記事

J PREP 斉藤塾 コース紹介

J PREPでは、1人1人のレベルや目指す進路に合わせて細やかにコースが分けられています。
自分の将来に合わせた最適なコースを選択できます。

英語力の基礎から学ぶコース。高校1年生までに国内一流大学合格、英語圏大学留学に必要とされる十分な英語力を養うことを目標とします。

  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生

主対象:小5〜高1

大学入試英語に通用する英語力を養い、志望校合格を目指すコース。単語・文法・読解・英作文・要約などの基礎から実践的な英語まで学びます。

  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生

主対象:高1~高3

授業をすべて英語で行う留学指導のコース。SAT対策、TOEFL対策、大学出願個別指導に加えて、発展的な教養や表現を養成します。

  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生

主対象:小5〜高3

J PREPで学ぶ速習型の数学コース。東京大学・京都大学・医学部をはじめとする難関大学入試で重要な基礎力を体系的に学ぶカリキュラムです。

  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生

主対象:小5〜高1

小学校入学以降に英語学習を始める小学1年生から4年生対象のコース。年齢と学習経験に合わせた練習メニューで英語の総合力を高めます。

  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生

主対象:小1〜小4

短期集中型の特別プログラムで、各生徒の実力向上と目標達成をサポートします。さらに、夏休み限定で
J PREP 1日体験講座を開催いたします。

  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生

対象:小5〜高3

英語コース履修ガイド

あなたにオススメのコースをご案内します